①「無分割法」
これは画面を分割せずに本紙を貼り込む形式である。
伝統様式では「丸表具」と称するものに近い。
但し「大和表具」にはこの形式はない。
この場合、本紙の周囲には細い縁取りを施す場合が多い。
その際、縁取りを二重にすることも多い。
②「二分割法」
これは画面を二つに分割する方法である。
その分割を縦に行うか、横に行うか、または斜めに行うかによって更に『縦二分割法』『横二分割法』『斜め二分割法』に分類する。
もっともよく採用されるのが『横二分割法』である。
因みに「民芸様式」には曲線継ぎというものはない。
③「三分割法」
画面を三つに分割する形式である。
『縦三分割法』と『横三分割法』がある。
『横三分割法』の場合、上と下に同じ素材を使うと、「大和表具」の『草』の式に酷似したものになるが、「民芸様式」では上・中・下にそれぞれ異なる色の素材を使用するのである。
④「四分割法」
画面を四つに分割する形式である。
⑤「逆一文字法」
「大和表具」では、本紙の天地に一文字として貼り込むべきものを、軸の天地に配したような形状になっているものに名づけたものである。
伝統様式の『明朝仕立て』（とくに太明朝）とよくにているが、同じものではない。
『明朝』の一文字にある部分が、柱に同化している。
「大和表具」では、一文字は表具の生命だと考えられている。
しかし、一文字なるものが例の大きさで、あの位置に置かなければならない必然性など全く存しない。
『逆一文字法』は、民芸様式が一文字を克服した象徴的形式で、民芸様式の代表とでも称すべき形式であって、民芸表具の面目躍如たるものを感じる。
『民芸様式』には、本紙を分割する形式がある。
これは1本の軸に複数の本紙を貼り込むパターンのものと、1枚に描かれた作品を分割して貼り込むパターンの二通りがある。
前者は伝統様式にもあるが、『民芸様式』の方が貼り込む位置や大きさ等について自由である。
後者は極めて出色である。拓本の軸に作例が多く見られる。
それから、本紙六分割法以下は、八分割、十分割という風にバリエーションは広がっていくのである。
以上が『民芸様式』の基本型である
『 大和表具』の真・行・草の分類法と比較して如何に単純明快であるかが分かっていただけたと思う
本紙を引き立てるのが表装の本分だとすれば、これほど合理的な分類法はないだろう。
更に応用型が考えられるが、これについてはもう少し資料を収集整理してから発表したいと思う.。